うえやま建設 植山ノブオが建築や日々の出逢いを語ります

見えない所にこだわる大切さ

古民家を見ればすぐにわかることですが、先日棟上げしたお住まいの屋根構造はこんな風です。

もう雑木林だよねー。

写真に部材の名称など書きましたが、古民家などを見ると基本は全く一緒。
古民家で多いのは、垂木が杉、野地板は荒野地または竹、母屋は杉、梁は松、柱は杉というものです。

こういう基本形を整えた築30年以上の家は多数残っています。
当時の棟梁はこういうところに妥協がなかったものな・・・プライドを持っていた親方が本当に多かったけど、昨今は親方らしい人は皆無となり、合理化、予算カットの大号令でこういう構造は消滅しています。

リノベーションがしやすいお住まいとはこういう家のことをいいます。
下記の写真は昨年大規模リノベーションさせていただいたお客様宅の小屋裏写真。

築60年超。
傷みなし。屋根の下がりもなし。
屋根下地の無垢野地板も現役。
お金がかからない家になるのですよー。
見えない所にこだわって欲しい。
見えるところなんぞは如何様にもなる。
見えるところはデザイン・ディテール・素材・色・形の4つで決められるものであり、デザインの基本さえ知っていればどんなふうでもアレンジできます。
でもね、見えない所こそ後からアレンジできないところ。
ここは勉強して欲しい。
ここに予算もかけるべき。
次世代に素敵かつ安心・安全、無駄なお金がかからない良質の資産を受け継いでもらうために必須の要素なのです。
最近はここを軽視している業界の風潮が悲しいです。

職人として業界を見渡すと、このようなことを知っているプロの技術者も本当に少なくて新しい技術だけを習得しているだけに見えます。
不易流行という言葉を忘れてはならない。
いいものはずっと良くて、使われ続けるという意味合い。

戦後、古いものを全て捨て去るお国柄になってしまっている。文化を捨てることになってしまう。
文化が滅びると国が亡ぶと歴史が証明しています。
長年に渡って脈々と受け継がれてきた木造建築の知恵を守らないといけないので妥協なく私たちはご提案していきます。

PAGE TOP