もう40年近くになるお付き合いのお客様から「照明を交換したいけど、外すと汚れが目立つから何とかして」という要望をいただきました。
こういう細かい仕事も喜んで受けるのが工務店ですが、最近はこういうのをやらない建築関係の会社が増えてしまってどうしたものかと思います。新築しかしない、リフォームしかしないとか、営繕的な工事もしてあげないと困る人がいるでしょ? いつも思っています。
汚れを取る・・・
拭けば取れる?取れないよ。かえって汚れが酷くなるだけ。ということでその場で思いついたのが、折り上げ天井のイメージ。折り上げ天井は天井に埋め込みますが、薄い板を貼り付けることで折り上げ天井風に見せるという作戦です。
思いついたのは解体している現場の折り上げ天井からヒントをもらいましたぞ。

これは埋め込みタイプ。
埋め込んでいたら費用ばかりかかるので、薄く作るように作戦展開。これが図面。

大工はこれで十分三次元として脳裏に浮かぶんだよ。現場納め図→完成形が頭にインプット。
四方枠になる材をL型加工。溝付きという道具でさらえます。

このカットのイメージはこんな風です。

加工した枠を45度で切る準備。この金属の45度が出ている道具は留め切りと言います。

45度にカットすることも留め切りと言います。45度にカットするということは直角に木材を取り付けるということ。
はい、カット。留切りという置台の丸鋸でカットしましたが、45度が微妙に狂ってて最後に直すことに。

溝きりで凹ませた部分に羽目板を貼りますが、羽目板を定寸でカット。
こういうものは一枚一枚カットするとサイズが必ず合わなくなるので、羽目板をつないでおいて、一枚の板状にし、そこから割り付けしてカットするのが一番です。

そして組み立て。
留め部分が難航・・・この細い材を直角に四方に回すのはしっかり固定ができないのでなかなか大変です。
仕方なく、ビス打ち込み+ダボ穴栓打ちで対処。留口が45度じゃないので開いてしまっているけど、ここは後日修正。

何とかなりましたが、ここに一番時間がかかったよ。
そして羽目板を足の短いビスで打ち込み固定。裏から見るとこんなふうです。

留口が気になるけど、今の段階ではまあ良しでしょ。こういうのもさんざん調整してきたからね。

仕上がりはこれ。カッコよくない?

羽目板も中心から割り付けて両横は均等になっているよ。
四方枠は栂材、羽目板はアガチス。双方とも無節かつ、木目が通直で優しい色合い。
きっと気に入ってくれると思います。
天井を見上げるたびにこれを見ていいなって思ってくれたら。
家具っぽい仕事ですが、こういうこともやるのが工務店の基本だと思っています。
