うえやま建設 植山ノブオが建築や日々の出逢いを語ります

シンプルであること、本質であること

車に関して先端技術のことを色々と書きましたが、住宅は往年からある木造建築の伝統的な知恵がベースになっているとお伝えしました。
小細工は経年変化とともにこの世から去っていくパターンが大半のこの業界で、とてもいいなと思うものが1つあります。
それは制震の技術です。
様々なものがありますが、油圧式のダンパーが大半。
この油圧式のダンパーをよく見ると、油圧とゴム、そして合板を組み合わせて木造建築の筋交いの役割をさせることが多い。
事例報告があります。
油圧式のダンパーは1回目の大きな振動に対して正常に稼働するが、その時の衝撃で部分破壊がされ、次に来る大きな振動に対して効力がなくなっていると言う事実です。
これをよく考えると何故かとすぐわかります。
まず合板を組み合わせていることで、強烈な衝撃を受けたときにそれが痛む可能性がある。
ゴムと合板を接合しているので接着系のものか金属系のもので接合すると言う形になります。
この接合部1つでも強い力がかかったら破壊される可能性があると言うのは誰でも感じるものだと思います。
そして大きな地震はいつ来るか分かりません。
取り付けたばかりの時が最高の強度で、20年経た時にさてどうなっているかが問題です。
歴史もなく、構造もやや複雑なので、壁の中の結露やゴム等が経年劣化でどうなるかは実験ではオッケーでも実際はどうか分かりません。
そんな中で私たちが採用しているのは、耐震と言う考えを止めて制震の考え方。
木造に制震の考え方はベストバランスと判断しています。
部材の採用についていつも考えるのは
「シンプルであること」「本質であること」の二つです。

アルミで作られた制震ブレースを採用していす。



アルミと言うのはアルミサッシに代表されるように半世紀経てもまだ現役で劣化もせずに活躍しています。
私の実家ですが、私が高校生の時に建築したのですでに43年経てます。
アルミサッシは健在。
おまけに風にさらされているのに何の不具合もなくて、腐食もしておらず…。
このアルミの素材を使った制震ブレースをご提案していますが、
理由はまず傷まない、劣化しにくいという本質を持っているからです。
そして取り付けは至って簡単。
大工さんが木の筋かいを入れると同じように入れるだけ。とてもシンプル。
車のエアコンスイッチでタッチ式がまだまだ採用多いようですが、回すという物理ボタンに回帰されているこの頃です。直感的に使えるってストレスないですよね。タッチ式だと必ず視線はそこに行きます。物理ボタンだと上げた、下げたと直感的にわかります。建築の部材もシンプルであること、本質であることといつも思って入れば、直感的に可否が判断できますよ。
この動画を参考ください。

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