築年数を経たお住まいはたいていお風呂はタイル貼りのものが多く、タイル裏の躯体の腐朽状態が一番の心配事なのですが、解体中の現場はユニットバスに変更されていて、容易にチェックすることができました。
ブロックの上に横たわっている木材(ちょっと黒いけど)が土台です。

外から土台を見ると…野地板が若干劣化しているけど、下の土台はバッチリ。色が黒くなっているのは防腐剤を塗っているからです。当時の防腐剤はクレオソートと言う劇薬です💦
私もたくさんこれを塗りましたが、強い臭気、肌に触れるとヒリヒリとする強い薬でした。今は使用禁止になっていますが、当時は当たり前に使われていたものです。揮発して今はもう効力はなく、臭いも肌荒れもありませんが。

シロアリが発生するのは、このタイル張りの浴槽からが大変多く、要チェックポイントなのですが、問題なくてほっとしてます。タイルの目地部分…ここは防水性能はなくて、水は浸透していきます。なので、裏に防水紙を貼りますが、外壁通気工法をとられていないので蒸れるのです。という事は湿気がずっと溜まるので、シロアリがやってくると言うパターンです。
もしシロアリにやられていたとしても、木の中心部まではまず食べられていないのが大半です。それは材質がヒノキだから、ヒノキの中心部の赤身の部分は、白アリはなぜか食べないんですね。赤身の周りの白太と言われる部分は全部食べてしまうのですが、赤身の中心部はちゃんと残った状態で白アリは他のところに行ってしまうのをたくさん見てきました。
ただ材料が昭和50年から60年位の間にたくさん使われたベイツガと言うものだと全部食べられています。これは赤身の芯がなく、油っ気もない木材で造作材には適しているが、構造材には適していません。ただ当時はとにかく安いものと言って、住宅にたくさん使われていたのを見ています。
このように解体をしながら、当時の大工さんの仕事をチェックしたり、材木をチェックしたりしていると、質の高さがわかります。
こんなお住まいは、建て替えなんてもったいなくて、ちゃんと構造補強して、間取り変更も兼ねてランニングすれば蘇るよ。
1本の土台1つ、最低でも60歳以上。20年や30年で解体していては罰が当たるよね。もともと命があったものを命をいただいて、人間の命を支えるのだから。
木造建築とは新築した後も、繰り返し繰り返し何代にもわたって使える家だと言うことを知っててほしいと思います。
